たとえば絵を見に行こう。たくさんの絵があるから、ゆっくり見ていくと、いろいろ発見できるよ。まず何が描(えが)かれているのか考えてみる。お花が描かれていたり、山が描かれていたり、こわいおじさんもいるし太ったおばさんもいる。豚や馬や牛だっている。ドクロも描かれているし、おいしそうなリンゴもある。それからなんだかわからない絵がたくさんある。でもここで「わからない」って思ってあきらめてしまったら、美術館での楽しい時間は終わってしまう。わからないことと、つまらないことは、一緒(いっしょ)じゃないんだ。わからないからきみはたくさん考えられるし、いろんな見方を見つけることができる。たとえば、「なぜきみの見た絵はその色でぬられているの? どんなぬり方をしている? いくつの色が使われている? 表面はざらざら、それともすべすべ?」とかいろいろ考えていくと、絵がお話ししてくれるよ。そうなればしめたもの、きみは絵と会話ができる。
こんなふうに絵とお話ししながら、美術館を散歩していくと、いろんな声が聞こえてくるよ。お母さんやお父さん、お友だちと一緒に美術の森を散歩するのも すてきだね。そう、美術館って、やわらかな風がふく美術の森なんだね。